プログラム
招待講演:35分講演+5分質疑応答
一般講演:16分講演+4分質疑応答
※敬称略
プログラムの変更について
11.25 初日(11月29日)の終了時刻が早まりました。発表の順番や時間等に変更はありません。
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11月29日(金)
12:00 開場・受付開始
13:00 開会・挨拶
セッション1-1:激変星1(座長:石橋 和紀)
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13:10
<招待講演>
「高分散偏光スペクトルから探る古典新星V339 Delの爆発放出物」 新中 善晴(京都産業大学)
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古典新星V339 Delはガンマ線の発生及びダスト生成が共に観測された新星の一つであり、新星爆発の描像の確認にうってつけの天体であった。我々は京都産業大学神山天文台の 1.3 m 荒木望遠鏡に搭載した高分散線偏光分光器VESPolAを用いて、V339 Delの爆発翌日から7日間連続で偏光分光観測を実施した。その結果、V339 Delの爆発放出物は2つの成分が存在する可能性が強く示唆された。本発表では、偏光観測により明らかになった爆発放出物の幾何とその妥当性について議論する。
13:50
「古典新星のタイムスケーリングされた色-等級図」 蜂巣 泉(元東京大学)
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古典新星の光度曲線は時間軸方法に圧縮あるいは伸長することでお互いに重なり合う。この性質は普遍的減光則と呼ばれる。圧縮率がfで与えられると、絶対等級が、M-2.5 log f だけずれる。しかし、色はこの差となるので、時間圧縮で変わらない。この性質を使うと、縦軸にM-2.5 log fをとり、横軸に色(例えば、B-V)をとる色ー等級図上で、いろいろな古典新星の軌跡は重なりあう。 この性質を使い、古典新星までの吸収(色超過、E(B-V)など)や距離を精度良く求めることができる。
14:10
「新星V1280 Scoに見られる速度幅の狭いダブルピーク輝線の起源」 内藤 博之(なよろ市立天文台)
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V1280 Scoは2007年に爆発した古典新星(極大等級V~3.8)で、2019年においても10-11等台の明るさで推移している。2009年に観測された高分散スペクトルにFe IIなどの許容線に速度幅の狭い(数10 km/s)ダブルピーク輝線が見られ、2018/2019年には[O III]の禁制線に速度幅の狭いダブルピーク輝線が確認された。本講演ではV1280 Scoに見られるダブルピーク輝線の起源(周連星円盤起源の可能性)について議論する。
14:30 休憩
セッション1-2:激変星2(座長:内藤 博之)
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14:45
「星間赤化の大きな新星」 清田 誠一郎(VSOLJ)
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今年になってから相次いで発見されている星間吸収による赤化を大きく受けた新星の観測結果を報告する。
15:05
「可視・紫外線多色観測から探るWZ Sge型矮新星の再増光の起源」 磯貝 桂介(京都大学岡山天文台)
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一部の矮新星やX線連星では、アウトバースト終了後に再増光を起こすことが知られているが、その起源は未解明である。我々は、2018年に増光したヘリウム激変星SDSS J1411+4812の可視連続測光キャンペーンを行い、swift衛星の可視・紫外線と組み合わせることで、再増光前後の多色データを手に入れることに成功した。本講演では、再増光を起こす降着円盤がどのような状態にあるかについて議論する。
15:25
「TCP J21040470+4631129 : 特異なrebrighteningを示すWZ Sge型矮新星」 反保 雄介(京都大学)
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矮新星は,白色矮星と晩期型星の近接連星系であり,降着円盤の熱-潮汐不安定性によってsuperoutburstを起こすことが知られている。TCP J21040470+4631129は2019年7月にsuperoutburstを起こしたWZ Sge型矮新星であり,この天体では,Superoutburst終了後のrebrightening期に再度superoutburstを起こすという,史上初めての現象が観測された。本講演では,この天体の特異性や,初の現象を引き起こしたメカニズムについて議論する。
15:45
「Be星ASAS J193447+4226.1のlasso法による周期解析」 新島 啓友(京都大学)
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B型星の中には輝線が観測されるBe星と呼ばれる天体が見つかっている。輝線の成因として星の周りの円盤の存在が考えられており、星の高速自転と非動径脈動によって形成されるとする説が有力視されている。この非動径脈動は複数の周期変動からなる光度変化をもたらす。そこで、今回はk2 missionによるASAS J193447+4226.1という天体のデータをlasso法で周期解析し、その結果を報告する。
16:05 休憩
セッション1-3:激変星3(座長:高妻 真次郎)
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16:20
「冷たく安定している降着円盤をもつと考えられていたヘリウム激変星GP Comae Berenicesのアウトバースト」 小路口 直冬(京都大学)
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ヘリウム激変星GP Comは常に冷たい降着円盤を持つとされ、降着円盤物理を解明するための貴重なサンプルと考えられてきた。 我々はDigital Access to a Sky Century @ Harvardのアーカイブデータから1950年のアウトバーストを発見したことを報告する。光度曲線の形と絶対等級から矮新星アウトバーストであると考えられる。本講演ではこれらの結果から、降着円盤の熱的不安定性モデルについて議論する。
16:40
「ASASSN-16ohは新星か矮新星か、両方か?」 加藤 万里子(元慶應大学)
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ASASSN-16oh (SMC)は増光4等、ピークまで200日、減光が100日の変光を示す。光度曲線は矮新星だが、超軟X線が観測された。新星にしてはスペクトルに質量放出の気配がない。Maccarone らは矮新星で初の超軟X線検出だと主張し、Hillman らは新星だとした。ここでは、矮新星をきっかけに新星がおきた可能性を考え、可視光は白色矮星に照らされた円盤によるものとし、X線は新星(ただし質量放出なし)というモデルを提案する。新星の質量放出は古い種族では弱い傾向がある。
17:00
「重力波天文学によるIa型超新星母天体の同定」 衣川 智弥(東京大学)
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現在、重力波検出器により重力波が続々検出されている。LIGOの重力波感度帯は連星ブラックホールなどからの重力波が検出されるが、他の感度帯では異なる重力波源からの重力波が検出されることが期待されている。そこで我々は将来計画DECIGOなどで検出が期待されている0.1Hz帯の重力波に着目した。この感度帯では白色矮星同士の合体による重力波が検出でき、Ia型超新星の母天体に貢献できる可能性がある。本研究ではどの程度の観測精度と重力波検出率が白色矮星合体と将来計画から期待されうるかについて議論する。
17:20 ポスター紹介
17:30 諸連絡等
11月30日(土)
セッション2-1:恒星フレア1(座長:鳴沢 真也)
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9:30
<招待講演>
「太陽・恒星のフレアやコロナ加熱について」 高棹 真介(国立天文台)
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太陽をはじめとする恒星のコロナは光球からのエネルギー輸送の結果加熱を受け100万度という高温になっている。コロナでは突発的な爆発現象である恒星フレアが起き、惑星間空間へ恒星風を放出していることからもコロナが動的なことがわかる。本講演ではこのような恒星コロナを磁場がどのように形作っているかについて議論する。
10:10
「せいめい望遠鏡初期観測成果:M型星AD Leoの恒星フレアの連続測光・分光観測」 行方 宏介(京都大学)
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恒星フレアとは、恒星表面での爆発・増光現象である。我々は、2019年3-4月に、せいめい望遠鏡を含めた大学間連携/X線観測装置NICER等により、M型フレア星AD Leoのモニタ観測を行なった。結果、10個程度の巨大フレアを検出することに成功した。特に、最大級のスーパーフレアでは、Hα線のライン幅や、連続光に対する強度が大きく時間変化した。また、主星の自転に伴った光度変動も確認された。本発表では、これらの観測成果を報告する。
10:30
「光赤外線天文学大学間連携とTESSによるM型フレア星の測光・分光同時観測」 前原 裕之(国立天文台)
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我々は、恒星フレアの高時間分解能の測光分光同時観測を目的として、頻繁にフレアを起こす活動性の高いフレア星の 1 つである YZ CMiがTESSによって観測される期間に、光赤外線大学間連携の枠組みを活用したキャンペーン観測を行ったので、その結果を報告する。また、9月から10月にかけても別なフレア星EV Lacでも同様の観測を行ったので、その結果の概略と、今後のフレア星のTESSとせいめい望遠鏡他との同時観測の計画を紹介する。
10:50 休憩
セッション2-2:恒星フレア2(座長:鴈野 重之)
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11:05
「新RS CVn型フレア星V881 Perについて」 大島 修(岡山理科大学)
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前回の本研究会で発表したフレアを起こした連星系V881 Perについて、その後美星天文台で観測し分光分類を試みた結果CaII輝線を持ったRS CVnであると判断した。合わせて、フレアの全輻射エネルギーの見積りを行い、Phoebeを使った光度曲線解析からフレア発生時の黒点位置とサイズを求めた結果を報告する。
11:25
「SS Cygの変光パターン(2013-15年と2019年を比較して)」 赤澤 秀彦(倉敷・船穂天文台)
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矮新星SS Cygの2013-15年期と2019年期の観測を比較しながら、アウトバースト期間、静穏期間の変光パターンや短時間変動等について考察をする。
11:45
「GSC 3807-0759(5連星?)でフレアーを検出」 笠井 潔(VSOLJ)(代理発表:赤澤 秀彦)
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2つの食変光星にさらに第5星が加わった5連星と見られているGSC 3807-0759の観測で2度のフレアーを検出した。その観測データから大島修氏の手法によってそれらの放出エネルギーを見積もった。
12:05 記念撮影・昼休み
セッション3:連星系(座長:清田 誠一郎)
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13:25
「関東での連星勉強会活動」 永井 和男(VSOLJ)
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2016年のこの研究会にて岡山で連星ゼミが行われている事を知り、関東でも連星ゼミを行うきっかけになりました。2016年12月から開催し、これまでに13回実施しております。その内容について活動報告致します。
13:45
「観測地の天候を考慮した明るい天体のための観測方法の改善」 伊藤 芳春(聖和学園高等学校)
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長周期食変光星ケフェウス座VV星の観測から,当然のことながら一夜で一回の観測で十分な場合でも1時間以上連続測光を行い天候の変化を確認しながら薄雲などの影響のないところでの観測値を平均することで正確なデータを得ることができた。
14:05
「短周期アルゴル系の突発的周期変化時に何がおきているのか?<完結編>」 鳴沢 真也(兵庫県立大学)
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短周期アルゴル型連星系の中には、その公転周期を突発的に変化させるものがある。講演者らは、周期変化と星周物質または磁場活動との間に同時性がないか、昨年に引き続き典型的なアルゴル系9つを対象に調査を行った。
その結果、星周物質との関連性は薄いことがわかったので、質量移動が周期変化を起こす大きな要因になっているとは考え難い。なお磁場活動については、サンプルが少ないためまだはっきりと結論は出せず、さらなる継続観測が求められる。
14:25
「接触型連星における恒星黒点の性質」 高妻 真次郎(中京大学)
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接触型連星とは、2つの成分星のロッシュ・ローブがともに満たされているような近接連星系である。過去の文献から接触型連星の連星および黒点パラメータを集め、それらの相関関係を統計的に調べた。その結果、接触型連星のなかでもW型とA型の間で、恒星黒点の性質が異なっていた。講演では、得られた相関関係や接触型連星で現れる恒星黒点の性質について紹介する。
14:45
「X線天体Cir X-1のMAXIによる長期モニター観測」 富永 愛侑(東京大学/JAXA)
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CircinusX-1(以下、Cir X-1と表記)は通常の星と中性子星からなる連星である。Cir X-1は、LMXBsの特徴であるI型X線バーストが観測された一方、伴星がB5-A0型巨星であるという観測も報告されており、これまでの分類に当てはまらない特異な天体である。複雑なX線放射について諸説ある解釈を検討するため、長期間にわたり増光現象を確認する必要がある。我々は10年間の増光を詳細に解析し、CirX-1の周辺環境と放射機構に統一的解釈を与えることを最終目標としている。
15:05 休憩
セッション4:変光星(座長:前原 裕之)
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15:20
<招待講演>
「異常を検知する機械学習による変光星検出」 目加田 慶人(中京大学)
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本講演では機械学習を用いた変光星検出に関する取り組みを紹介する.2MASSデータセットのなかから異なる時間に撮影されたデータの重なり部分を対象とする.講演では,重なり部分の同一の星の同定と位置合わせ,異常検知による変光星候補の絞り込み,経時差分に基づく変光星検出について紹介する.
16:00
「『宇宙の間欠泉』から新たに出現した双極高速ジェットからの同時噴出ガス塊」 今井 裕(鹿児島大学総合教育機構共通教育センター)
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AGB /後AGB星段階において、双極状高速ジェットに付随する水メーザー源が確認される例がある。これら「宇宙の噴水」天体を形成できるのは、連星系を構成する主星から放出されたガ スの一部が極小伴星に勢い良く降着するからだろう。もしそうならば、連星系公転周期でこの物質降着の効率が上昇し、その度に新たに2つの高速ガス塊が伴星から正反対に吹き出す現象が見られるはずである。我々は、この様な「宇宙の間欠泉」とも呼べる天体において高速ガス塊噴出直後の状態を初めて捉えることに成功したので、その成果を発表する。
16:20
「カシオペヤ座γ型変光星における水素輝線等価幅のモニタリング」 石田 光宏(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)
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カシオペヤ座γ型変光星(Gamma Cassiopeiae variables, GCAS)とは、数か月から数十年のタイムスケールで変光するBe星であり、赤道周りに作るガス円盤から水素輝線が出る。近年、様々なGCASにおいて、水素輝線等価幅の長期変動が報告されているが、変動のメカニズムは明らかになっていない。本研究では、30cm 望遠鏡+低分散分光器を用いて、複数のGCASの水素輝線等価幅、バルマー輝線の放射流束の比であるバルマー逓減率の時間変動を追っているので、詳細を報告する。
16:40 諸連絡等
18:00 懇親会
12月1日(日)
セッション5:連星系の誕生、その他(座長:大島 修)
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9:30
<招待講演>
「ALMAによる原始星連星周囲の円盤の構造、運動の観測、解析」 高桑 繁久(鹿児島大学)
スライド
ALMA望遠鏡による、近年の原始星連星の観測結果について報告したい。
10:10
「前主系列星V523 Ori の測光・分光観測」 山村 春香(岡山理科大学)
スライド
V523 Oriは前主系列星の若い天体であり、弱輝線Tタウリ型星に分類されている。若い天体の大きな増光は数年に一度見つかる現象で極めてまれであるが、2017年10月にこの天体の増光が報告され、2013年から2017年にかけてIcで約2等の増光がみられている。そこで2017年10月から岡山理科大学天文台の23.5cmの反射望遠鏡で測光観測を行った。今回は、赤澤氏による船穂天文台のR、Ic、V、Bの多色測光観測の解析結果とともに、岡山理科大学天文台での現在までの測光結果を報告する。
10:30 休憩
10:50
「特異な共生星V694 Monの可視分光観測」 安藤 和子(岡山理科大学)
スライド
V694 Mon は共生連星と考えられている。この天体には、ジェットと考えられる非常に速い高速度成分が報告されている (Tomov et al.1990)。2016 年 2 月に 8.8 等まで増光していることが報告されてから、我々はこの天体に対して88 夜分光観測(低分散:81 夜、高分散:8 夜)を行ってきた。本発表ではこれまでに得られたスペクトルの時間変化を報告する。また 2019 年 1 月にイレギュラーな増光が報告されたことから、増光要因を考察する。
11:10
「多重星の固有名について」 山岡 均(国立天文台)
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2016年以来、国際天文学連合(IAU)の恒星の名称に関するワーキンググループ(WG)において、恒星の固有名について整理とリストアップがなされてきている。このWGでは、連星や多重星はそのコンポーネントごとに固有名を与えるという方針で、実際α Cen系に対して3星それぞれに固有名が定められた。WGの一員として、経緯やこの方針の意図するところについて概説し、関係諸氏の意見を伺いたい。
11:30 ビジネスセッション
12:00 閉会
ポスター
「第2次RZ Cas測光キャンペーンの初期結果報告」 鳴沢 真也(兵庫県立大学)
スライド
主星の短周期δ Sct型振動を検出した1997年のキャンペーンに引き続き、振動の詳細などを調査するため、1998年から短周期アルゴル型連星系RZ Casの測光観測キャンペーンを実施した。国内6観測所で光電およびCCD測光により計63夜の観測ができている。 現在、データを解析中であるが、δ Sct型振動の振幅の変化や公転周期変化 などについて報告したい。
「ζAur型長周期食連星γ Perの食が始まった」 大島 修(岡山理科大学)
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15年という長周期の分光連星γPerは、1990年に初めて食を起こすことが著者らの測光観測で明らかになったが、その次の食は季節が悪く測光で食は観測されていない。したがって正確な軌道周期は求まっておらず、今年が観測される2回めの食となる。11月17日に食に入ったので、その低分散分光と測光観測の速報を示す。